診察室に入ると、恰幅のよい先生が机に書類を広げている。よろしくお願いします、と一礼して自分も丸椅子に腰掛ける。 第一声は「入院は東京と北海道、どっちにする?」という妙なものだった。入院?北海道?どういうことだ? 先生は話を続ける。 「こっちで…
判決を受ける被告、あるいは合格発表の前の受験生の気分だろうか。廊下の長椅子にくたびれた身体を預けながら、自分は診察室からの呼び出しを待っていた。紹介状を手に大病院の血液内科を訪れた5月8日。 ふと周りを見れば、この手の診察には家族の付き添いが…
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