【day+8】無菌室探訪

おはようございます。今日の建もの探訪は、病院の中にありながらなかなか知ることができない無菌室をご紹介します。さて、どんな空間が待ってるのでしょうか? 「失礼します」 ご主人に案内されたお部屋の大きさは約6畳。緑のリノリウムの床と白い壁、そして…

【day+6】血糖値が気になるお年頃

それはday-3、10月26日のこと。 朝、血液検査にきた看護師さんとの会話で、衝撃の事実が明らかになった。 「今って、のど渇きます?」 「ふつうに乾きますけど……」 「特別乾きます?」 「特別? ふつうですかねー」 「血糖値385もありますよー」 ええっ! そ…

【day-0】臍帯血移植当日

よくある誤解だが、骨髄移植や臍帯血移植では手術などの外科的療法を行うわけではない。手術室に入って、麻酔をかけて、骨髄を切ったり貼ったり……ということはなく、無菌室に入って、ドナーさんの造血幹細胞(骨髄・臍帯血)を点滴で入れていく。 なので、「…

【day-1】前処置の日程終了

10月29日からはじまった臍帯血移植前の前処置の日程は、今日の全身放射線照射(TBI)をもって終了した。 造血幹細胞移植に先だって行われる「前処置」とは、移植前にあらかじめ大量の抗がん剤を投与、また放射線を全身に照射することで、患者の骨髄をカラの…

【day-9】 再移植前のカンファレンス

当日9日前の午後には、2度目の移植を前にしてカンファレンス(医者・看護師・患者・家族が参加しての説明会)が行われた。 今回は、骨髄繊維化、骨髄異形成症候群、散発的な熱(感染症)、非寛解状態での移植、と不利な条件がいくつもあり、リスクも大きい。…

【day-11】 次兄の結婚式

ヒゲを念入りに剃る。ひさしぶりにパジャマを着替えてスーツ姿になる。ネクタイの結び方を忘れていてあわてる。革靴を用意する。お気に入りの毛糸の帽子をかぶる。電話が鳴る。もう迎えの車が来たようだ。 ナースステーションに外出届を出す。理由欄には「兄…

連日連夜の発熱大会

9月は30日ぶっ続けで毎日発熱があった。熱が出るのにはなれたとはいえ、洞爺湖ロングラン花火大会なみの開催期間はさすがにこたえる。今回の典型的な発熱パターンはこんな感じだった。 朝起きると、38℃前後の熱 熱冷ましのソルコーテフを注射 寒気が襲ってく…

今までのあらすじ

各地からの戦況報告 対策本部に入ってくる各地の戦況報告はかんばしくなかった。 前回、究極兵器(骨髄移植)で闇に葬ったはずの白血病怪獣。だが、ヤツはまだ生き残っていたのだ。残存白血病細胞から増殖・再生し、4ヶ月の時を経てまた街に上陸を果たした(…

病室で不在者投票

今回のAra-c大量療法は、心配したほどさほど副作用はなかった。髪の毛が生え際を残した妙な脱け方をしたほかは、散発的な吐き気、発熱があったのみ。逆にいうとクスリの効果がさほどなかった、ともいえるわけで。 今日は、東京から出張のついでということで…

Ara-c大量療法開始

前回の治療が奏功しなかったこともあり、次の治療はAra-C(キロサイド)大量療法を行うことになった。これは、薬物耐性を持った白血病細胞対策の先日書いた2種類のうち、 抗がん剤の種類を変えてみる 抗がん剤の量を多くしてみる 後者のほうに当たるもので、…

一泊二日の一時退院

白血球数は一度下がってまた上がった。これだけ見れば無事寛解、なのだが、実際は末梢血にまだBlast(芽球)があるようで、寛解にはいたらない。チャレンジ第一回目は残念ながら失敗に終わったようだった。 とはいえ、白血球数はここ最近ではいい方の1640。…

ちょい苦手の末梢血点滴

採血、マルク、CV挿入、薬を飲む、MRI、だいたいの治療はさほど苦にしないのだけれど、前腕部(手首からヒジの間)から点滴針を入れる、末梢血点滴だけはちょっと苦手だ。 前にも書いたが、どうもぼくの手首の静脈はなかなか見えにくいうえ、蛇行しているら…

病気とストレス

夜半に、友人のMくんがお見舞いに来てくれた。 最近読んだ本を貸してくれたり、病状を語ったり、オタ話に興じたり、と、そのうち仕事についての話題になった。上司のことや仕事内容のことでストレスがたまる部分がある、というちょっとしたグチだ。 1年以上…

抗がん剤治療の開始、あるいは入院期間の延長決定

再入院後から行われた治療、「免疫抑制剤を止めてGVLに期待する」の効果はかんばしくなかった。その間に、自分の末梢血には芽球(=白血病細胞)が増えはじめ、本格的な治療、つまり抗がん剤投与が必要になってきた。 こうなると、1ヶ月での退院というセンは…

さいはつ!

「らき☆すた」「みなみけ」「かんなぎ」「アキカン!」「けいおん!」「かなめも」等々、4文字タイトルが流行っている昨今に乗っかって、「さいはつ!」ってなネタを考えてみました。 が、しょっぱなから鬱展開だし、闘病生活は地味だし、そもそも病気ネタな…

免疫抑制剤とGVL/GVHD

12日の再入院はつつがなく終わり、また病院の住人となった。 まあ、なってしまったものはしかたがない。 腹をくくって、腰をすえて、またイチから出直しだ。 とりあえず最初に行う治療は「免疫抑制剤を切って様子を見る」というものだ。 移植されたドナーさ…

「あるいは最悪、再発」

東京の大病院の門を叩いてから一年と一ヶ月。ぼくはまた、内科外来の長椅子に座っていた。担当の先生が、ドアを開けて名前を呼ぶ。一礼して診察室に入ると、すかさず机の上の血液検査結果に目を走らせる。そこにあったのは、先週よりさらに低下していた血小…

執行猶予

白血病の退院患者は、よく「執行猶予5年」なんて表現を使う。これは「白血病の治療終了(寛解導入)後、5年以降の再発はほとんどない」というデータに基づくものだ。 つまり、「退院後5年再発しなかったら、もう大丈夫、治ったよ」というわけだ。 逆に言うと…

5月14日のカンファレンス、そして本退院

昨日の14日は本退院にむけてのカンファレンス(医者・看護師・患者・家族が参加しての説明会)があった。 「食事は調理後二時間以内のものを」「人ごみはなるべく避ける」「生ものとグレープフルーツは禁止」「旅行は控える」「掃除機の後ろには近付かない」…

入院1年後を過ぎて……

ちょうど1年前、東京の大病院に入院したとき、これから自分がどうなるかなんて、正直、皆目わからなかった。病気は治るのか、治らないのか、生きるのか、ダメなのか。仕事はどうなるのか、これからの人生はどうなるのか。 桜前線も北海道を過ぎた。入院から…

リハビリをはじめた

きっかけは、看護師さんとの何気ない会話だった。 「最近、なにか困ってることありませんか?」 「そうですね、全然運動してないんで体がなまってるなー、ってのはありますけど」 「じゃあ、そろそろリハビリはじめましょうか」 そんな話の翌日、いつものよ…

サイトメガロウイルスに陽性反応

移植後の患者はいろいろと気をつけなくてはならないことが多い。中でもその筆頭にあげられるのがサイトメガロウイルス(CMV)だ。 このウイルスは、そもそも多くの人がもとから身体に持っている。だが、骨髄移植後は免疫抑制状態になり抵抗力が下がる。する…

フルメニューな食事の開始

ようやく下痢も治まりつつあり、腹具合も落ち着いてきたここ最近。通常の食事に戻してみませんか、という提案があったので一も二もなくそうしてもらった。 高カロリー輸液の点滴を受けて栄養を補給、メシは何も食べない、というのはなかなか不思議な状態で、…

無菌室からの解放

というわけで、なんとか骨髄移植も完了し、先日、無菌室から一般病棟(クラス10000の部屋)へ移動とあいなりました。ここ一ヵ月あまり、身体がこんがり焼けたり、激しい口内炎になったり、モルヒネ漬けになったりと、いろいろなことが起こり。このあたりはま…

一時退院の終了、そして骨髄移植へ

骨髄移植前の一時退院が終わり、1月25日は病院に再収監の身となった。 2週間弱の冬休み、いろんなことがあった。家族と小樽に出かけ、カニとウニと寿司を食い、友人とジンギスカンを食べ、ダーツ&麻雀を楽しみ、東京へも二泊三日で出かけた。東京では、同僚…

入院中のオタ生活に必要なモノは?

先日のエントリー「独身男性・会社員のオタが突然入院したらどうなるか?」に沢山の反響、コメントをいただきありがとうございました。 中でも、「オタ話があんまりない」というご指摘をいくつかいただいたので、そのあたりをもうちょい突っ込んで書いてみま…

独身男性・会社員のオタが突然入院したらどうなるか?

平凡でオタな会社員だった僕が、突然の白血病に倒れてはや8ヶ月。はたして入院したらどうなるのか? 会社は?給料は?保険は? 気になるその辺を、自分の経験をもとに少々記してみたいと思います。サンプルとなる「僕」は、大卒新入社員(正社員)で中堅企業…

一時退院前の胃カメラ&大腸カメラ

お正月の食卓には、おせち料理が一通りならんだ。エビや茶碗蒸しなど、病院食とは思えない豪華さに驚く。お雑煮もあったのだが、具材はモチではなくてイモダンゴ。さすがにモチをノドに詰まらせて仕事を増やすのはまずいのだろう。 休みということもあって、…

年越し、病院にて

12月の年末にかけて、入院病棟では空き室が徐々に増えていく。年末年始は家に戻りたい、という患者の希望は多いらしく、それにあわせて治療のスケジュールを調整することはよくあるそうだ。また、12月28日から1月4日までは外来もお休みになる。よほどの緊急…

詰まる話

(完全なシモ話です、お食事中の方などはご遠慮ください) もうひとつ今回は、おそらく抗がん剤の副作用である、人生初の便秘に悩まされた。 一日たっても、二日たっても、三日たってもお通じが来ない。胃から腸にかけてがキリキリと痛み、腹がはちきれそう…