大病院の廊下の長椅子で

判決を受ける被告、あるいは合格発表の前の受験生の気分だろうか。廊下の長椅子にくたびれた身体を預けながら、自分は診察室からの呼び出しを待っていた。紹介状を手に大病院の血液内科を訪れた5月8日。
ふと周りを見れば、この手の診察には家族の付き添いがあるケースが多いようだった。
だが、自分はといえば北海道から上京して十余年、家族は近くにはいないし、ステディな異性もいない。人生に関わるこんな発表を聞くとき、そんな存在がいれば心強いだろう、とは思うのだが、これもまた自分の人生の選択の結果だ。一人で結果を受け止めるのも自分らしいのかもしれない。
大病院らしくかなり待たされたあと、呼び出しの音声がスピーカーから流れてきた。