抗がん剤・投与開始

入院から3日目、いよいよ化学療法による治療がはじまった。
白血病の原因である、悪い白血球を減らす抗がん剤を数日にわたって投与していく。ただ、この薬はあまりに強力すぎて、他の良い白血球や赤血球、血小板も減らしてしまう。しかし、しばらくすると悪い白血球は減ったまま、他の良い血液成分だけが回復していく、そこでいったん治療は一区切りとなる――。というのが、事前に受けた説明だった。

あわせて、抗がん剤の副作用、そして白血球が下がることによる症状の話も聞く。脱毛、吐き気、感染症、肺炎、敗血症、腎不全などが予想され、それには随時対応していくとのこと。食事が取れなくなる人もいる、感染症にかかると大変なことになるとの例も聞く。何も起きないといいが……と思っていると、「みなさん必ずなんらかの症状が出ます。何も起きずにこの治療を終了できる人はいません」というダメ押しを聞いて大いにへこんだ。


さて、抗がん剤だ。といっても実際の作業は、入院当日に装備した点滴から液状の薬剤を流し込むだけなので、自分としては特にすることはない。しかもパッケージの表面には、「生理食塩水」とあって若干緊張感に欠ける。人によっては投与後から吐き気に襲われる人もいるようだが、自分は今のところ大丈夫なようだった。