転院編その1:東京か札幌か、あるいは自宅か親元か

東京で入院するか、地元で入院するか。地方から上京してきた者が、長期療養するときに悩ましいのがこれだ。
東京であれば、自宅にも近く、会社の友人もお見舞いに来やすい。専門の病院が多数あるのも利点だろう。一方の地元(自分の場合は札幌)の場合は、親兄弟や、地元の友人との距離が近くなる。どちらにも長所があり、短所がある。実家が東京か、職場が札幌ならラクなのだが。


このことは入院時にも聞かれていた。その時も大いに悩んだのだが、急ぎの入院であることと、仕事などの引き継ぎなどを考えて、東京の病院で入院することにした。一応、「たとえばこちらで一ヵ月入院して、その後札幌に転院することは可能ですか?」と確認はしておいたが。


抗がん剤の治療も1クールが終了しようという6月初旬、あらためて病院側から確認があった。転院をするならいろいろ準備が必要なので、早めに返事が欲しい、とのことだった。
そして悩んだ末に……札幌に転院することにした。
理由はいくつかある。親、兄弟が近くにいるといういろいろな安心感、移植までを考えた場合の病院の適正、北海道の気候。それに、ひさびさに道民に戻るのも悪くないかなと言うのもあった。