2度目の告知――骨髄異形成症候群から白血病への移行

転院後はあわただしかった。前の病院からの紹介状はあるしカルテはある。とはいえ、新しい病院でも改めてデータは取りたいのだろう。レントゲン、心電図、CT、MRI、検尿、そして骨髄検査。なれない病院の中を行き来する数日だった。


そのあたりの結果がそろったのか、今日の回診は関西弁のイントネーションの先生が、あらためて現在の症状と今後の方針を話してくれていた。
「病名は知ってると思いますが、急性骨髄性白血病。骨髄異形成症候群からの移行型になります。このタイプは化学療法への反応性が悪いので、まず移植を考えています」
さらりとした感じで話された言葉だったが、自分的には衝撃が大きかった。

  • 骨髄異形成症候群(MDS)から急性骨髄性白血病(AML)への移行型であること
  • 骨髄移植が前提になること

これは、前の病院では知らされていなかったことだからだ。


骨髄異形成症候群については、もっと知りたい白血病治療―患者・家族・ケアにかかわる人のために医学書院)にわかりやすい説明があったので引用しよう。

骨髄異形成症候群の骨髄は不良品を製造するようになった工場と同じようなものだ。工場(骨髄)ではさかんに製品(血液細胞)を製造しているが、できそこないの不良品(異形成のある血球)も造ってしまう。工場では製品(血液細胞)を検査して、不良品を出荷しないように選別する。そのため、不良品は工場(骨髄)内で廃棄処分となってしまう。不良品が多くなってしまうと、血液中に出荷される製品(正常な血液細胞)が不足し、貧血、白血球減少、血小板減少が進行することになる。

つまり自分は、知らない間にこの病気にかかっていて、白血病へと移行したということらしかった。しかもあとになって調べてみたところ、通常の白血病にくらべて、このタイプの治療成績や予後は比較的よろしくないらしい。


移植については、いずれ根治的治療として行うことになるのだろうな、とはおぼろげに考えてはいた、のだが。ハイリスクハイリターンな療法だけに、期待も不安も半々だ。とはいえ、悩んだところでしかたがない。なるようになる、だろうし、自分も覚悟を決めるしかない。
しかし、一度自分の血を作る工場を壊して、他人の血を作る工場を移植する、とはどんなもんなんだろう。