「Candy boy」最新話に見る地方格差


こいつは妙なことになってきたなあ……。


wktkしながら見た、双子姉妹百合アニメの最新話・「Candy boy episode:03 コエラレナイカベ」。
上京していた姉妹が北海道に帰省する、という前フリから、おそらく札幌あたりの普通の家に戻って温泉イベントでもあるんだろう、と思っていた。そうしたら、まったく予想外の展開に。暮れに帰省した二人の実家は、

  • 日高本線清畠駅(一面一線無人駅)より徒歩1時間(日高町門別地区)
  • タクシーは隣町に2台あるだけ
  • 近所に温泉施設はなし
  • 昔は色々やってた(酪農?)みたいだけど、今は専業農家
  • 土地持ちなだけに、家はそれなりに大きい
  • 出稼ぎ中の父親がケガをし、看病に出たため母親も不在
  • 一人残っている妹は不登校気味

というかなりシリアスな状況。コメントを見ても、「テラ田舎w」だの「秘境駅かとオモタ」だの田舎さっぷりに驚いたものが目立つ。


この手の萌えアニメやゲームで地方が描かれるときは、自然が沢山で空気がキレイ、純粋でまっすぐな少女が、と美化されていることが多いが、今回の最新話では、冬の夜というシチュエーション、家の中の抑えめな照明もあいまって、ずいぶんと陰鬱な印象を視聴者に与える。
もうちょっとつっこんで考えてみると、出稼ぎに行くほど本業農家の収入がよくなかったのか、原油と肥料の高騰で家計は苦しいのか、三姉妹なわけだから跡取りは婿を取るのか、祖父母がいない(死去?)ため働き手が足りないのか、地図を見るに小学校へは徒歩で中学校へはスクールバスか、などと推論が広がる。


中でも三姉妹の三女、しいちゃん(雫)のさびしさは想像して余りある。
携帯電話やネットが発達したとはいえ、物理的な距離の差は埋めようがない。車という移動手段を持たない中高生にとって、田舎に一人、というのは絶望的な孤独感すら覚える。ましてや、仲のよかった姉妹二人が高校進学とともに遙か遠くの東京へ行ってしまったのだ。
似たような環境で中高生時代を過ごした自分には、彼女の思いが幾分か、わかる気がする。


しかし、こうも地方格差と一次産業の厳しさを見せつけられるとは思わなかった。いや北海道も大変なんですよほんとに……。
まあ、このあたりのことは考えすぎで、4人で年末をイチャイチャ過ごすためにそういう設定にしただけ、って気もするが。
あと、駅を実在のものにしたのはグッジョブ、と言いたい。もっと他の作品もバンバンロケハンに行って実在地名を出すべきだと思う。聖地探訪の観光客も見込めるだろうし。
とりあえず次の一時退院の時には清畠駅行ってきます。