9泊10日「タマゴ」付

シュアフューザー

「じゃあ今回は、『タマゴ』付きでの一時退院になりますね」
そう言って看護師さんから手渡されたのは、タマゴ型の形状をしたプラスチックカプセル。正式名称はシュアフューザー、というそうだ。
中には薬剤が充填されており、少しずつ排出される仕組みになっている。これを中心静脈カテーテルIVH)に接続しておくことで、管が詰まることを防ぐらしい。いわば、持ち運び型の点滴といったところか。
中の薬剤の量によって3日用と5日用があり、今回は10月6日退院で10月14日再入院なので、10月9日に一度外来を訪れて交換する予定になっている。


使い方としては、布製のケースに入れて、ペンダント風に首から提げる。そこから管が伸びて鎖骨下のIVHの入り口に接続される仕組みだ。
実際にかけてみると、それなりの重さがあり、かさばる管がいささかうっとうしい。シャワーをするのも面倒だ。うっかりタマゴを落として引っぱってしまうと、刺さっているあたりに痛みも走る。


点滴の管が身体に入ってるのを人に見せると、よく、「痛くないの?」と聞かれる。
「そりゃ、針が刺さりっぱなしなわけだから痛くないわけないっしょー」と冗談めかして答えるが、これは半分アタリで半分ハズレだったりする。
いろんなことに「慣れ」はあるもので、ふだんは刺さってる痛みを意識することはほとんどない。注射は刺すときはチクッとするが、刺してる最中はそれほど痛くないようなものだ。ただ、入ってるあたりを圧迫したり、管を引っぱったり、あるいはふとした衝撃で痛むこともある。


本当は抜いて一時退院するのが気が楽なのだが、IVHの挿入はなにかと面倒なようで、その点滴ルートが使える限りは使いたいそうだ。このあともまた、何らかの治療があるのだろうし。
しかしこれ、服の下に装着するので一見するとお腹が出てる人に見えなくもないのが難点か。