詰まる話

(完全なシモ話です、お食事中の方などはご遠慮ください)


もうひとつ今回は、おそらく抗がん剤の副作用である、人生初の便秘に悩まされた。
一日たっても、二日たっても、三日たってもお通じが来ない。胃から腸にかけてがキリキリと痛み、腹がはちきれそうにふくらんでいくのが自分でも分かる。下が詰まっているのだから上から入るわけもない。食欲もどんどん落ちていった。
人生には経験しなくてはわからないことが多いが、便秘の苦しみもそのひとつだろう。思い返せば健康な時代は、適当な本や雑誌を手に取り、会社のトイレに腰かけて読書にふけっていれば、いつの間にか出て流すだけだった。一日一回便があるなんて、当たり前すぎてそんなことを深く考えたこともなかった。


先生や看護師さんに症状を伝えて努力はした。便を軟らかくするマグミット、下剤のラキソベロンを内服し、出そうで出ない、いやな感覚とトイレで長時間格闘する。なるほど、暖房便座の「低温やけどの恐れがあります。長時間ご使用になるときは、便座入/切スイッチを切にしてご使用ください」とはこういう時のための注意なのだな、と合点がいった。食物繊維を取ったり、便秘に効くという体操を試したりと……が、まったくもって出る気配はなかった。


そうなるともう、最終手段しかない。もちろんこれも人生初だ。エロ系メディアでは散見する趣向ではあるが、まさか自分が試してみるとは思いもよらなかった。恥ずかしいのももちろんあるが、それよりももう一刻も早く楽になりたかった。詳細は省くが、恥辱と我慢、開放感に満ちた経験だったと記しておくことにしよう。
いや、失礼しました。