年越し、病院にて

12月の年末にかけて、入院病棟では空き室が徐々に増えていく。年末年始は家に戻りたい、という患者の希望は多いらしく、それにあわせて治療のスケジュールを調整することはよくあるそうだ。また、12月28日から1月4日までは外来もお休みになる。よほどの緊急事態でもない限り、この時期に入院する患者はいない、というわけだ。
自分はというと、今回は白血球の上がりが遅く、年内での一時退院はムリ、との話が12月30日にあった。移植を2月にひかえたこの時期、優先するべきは自分の都合より病気の都合だ。病室で年越しを迎えることになることは、少々残念だがしょうがない。こんな経験もそうできるものでもないし、これもアリかな、とも思う。


晦日にもかかわらず、22時より点滴3本の予定が入っていた。さらに幸いか不幸か、隣室も向かいの部屋も空き部屋だ。つまり、消灯時間を過ぎても看護師さんにとがめられず、テレビの音を出して見ててもいい、というわけだ。
昼は年越しそば、夜にもそれらしいメニューが出て、雰囲気は盛り上がる。テレビからはおなじみの「今年もあと5時間となりましたが……」なんてやっている。
自分はといえば、NHK-FMアニソン三昧と紅白をザッピングしつつ、実況に参加したり、適当にネットしたり。なんのことはない、ふだん東京の家で過ごす年越しとさほど変わりはなかった。
らき☆すたみなみけ苺ましまろのつなぎにテンションが上がったり、パフュームを観たりで、徐々に時は迫ってくる。年またぎはテレビ東京系でやっているクラシックコンサートで過ごすのがここ数年の習慣だ。カウントダウンの瞬間には、点滴をチェックしに来た看護師さんとたまたま時を同じくする。
「あ、あけましておめでとうございます、ですね」「ですね、あけましておめでとうございます」と年頭のあいさつを。


今年はいったい、どんな年になるんだろうか。