免疫抑制剤とGVL/GVHD

12日の再入院はつつがなく終わり、また病院の住人となった。
まあ、なってしまったものはしかたがない。
腹をくくって、腰をすえて、またイチから出直しだ。


とりあえず最初に行う治療は「免疫抑制剤を切って様子を見る」というものだ。
移植されたドナーさんの骨髄から作られたリンパ球が、患者の身体に免疫学的な攻撃を行ってしまうことがある。これが悪いほうに出るとGVHD、いいほうに出るとGVL、になる。
GVHDでは、皮膚や消化管、肝臓にダメージが現れる。一方、GVL(移植片対白血病)の場合は、身体の中に残った残存白血病細胞を攻撃し、減少、消滅してくれる。つまり、両方とも基本的には同じもの(=拒絶反応)だ。


悪く出るほうのGVHD効果を抑えるため、移植後の患者には免疫抑制剤を投与する。
しかし、この案配がなかなか難しい。GVHDを抑えるため抑制剤を多くしすぎると、GVL効果が期待できなくなるし、かといって、少なくしすぎるとGVHDが出てしまうことがある。


移植後に再発してしまった自分の場合、入院時点で免疫抑制剤の摂取を一切中止することになった。病院にいるのだし、GVHD症状が出たら随時対応はできる。GVL効果がうまく発揮されて、残存白血病細胞がなくなってくれれば御の字だ。
「ガンガン症状出てきて欲しいところですね」
「いや、GVHDがあまり出なくてGVLがあるっていうのが一番いいんですよ」
なんて話を先生と交わす。


ただ、関連書籍を読むに「うまくいったという報告もある」というレベルらしく、これだけで治る、というのはどうも見込み薄のようだ。先生が言った「早ければ1ヵ月」というのもこれがうまく行ったら、ということなのだろう。