一時退院の終了、そして骨髄移植へ

骨髄移植前の一時退院が終わり、1月25日は病院に再収監の身となった。
2週間弱の冬休み、いろんなことがあった。家族と小樽に出かけ、カニとウニと寿司を食い、友人とジンギスカンを食べ、ダーツ&麻雀を楽しみ、東京へも二泊三日で出かけた。東京では、同僚K氏が焼肉店で盛大な壮行会を開いてくれ、レバ刺しやカルビ、ホルモンを堪能すると同時に、大いに元気づけられた。また、術前検査の一環ということで、耳鼻科、肛門科、眼科の検診も受けるなど、あわただしく日々は過ぎていった。


退院する前に、先生と交わした会話を思い出す。
「どうも僕、一時退院するとちょっとワガママ気味になるんでセーブしとかないと、とは思ってるんですけどね」
「いやいや、ワガママ、充分結構じゃないですか。あれを食べたい、これをしたい、なんてのは人間の根源的な欲求じゃないですか。つまり、生きたい、ということですよ。それを無理に抑える必要はないと思いますよ」
なるほど、と思った。
もちろん、病人だからといって何をやってもいい、なんて考えはよくない。けれど、自分の欲求を可能な範囲で満たしていくのは悪いことじゃない。
オタ生活なんてやってると、毎日には物欲と性欲ぐらいしかなかった。だが今は……。気分は「ライオン」ってところか。

ワン・オア・エイトな骨髄移植

ここからは、白血病患者の最大の峠、骨髄移植の時期に入る。術前検査→準無菌→前処置(放射線&大量抗がん剤)→無菌室へ移動→移植→生着→回復期、という道のりを辿るわけだ。
くわしい骨髄移植についての説明は、このあたりをご参考にどうぞ。

正直、骨髄移植はハイリスクハイリターンな治療法だ。受け持ちの先生からは、「成功する確率は半々です」とのシビアな話があった。
なにより不安なのは、移植後に何が起こるのか、まったく想像がつかないことだ。移植まではなんとか辿り着けるだろう。ただ、そのあとに何が待っているのか……。前処置による副作用もある、感染症もある、GVHDもある、後遺症が残ることも少なくない。「骨髄移植は、移植後からが患者さんの勝負」とも言われるゆえんだ。


僕の場合はMDS(骨髄異形成症候群)からAML(急性白血病)の移行型なので、骨髄移植だけが、治癒する可能性を唯一期待できる治療法だ。ワン・オア・エイト(「一か八か」の意 (C)それ町)にかけるしかない。
というわけで、骨髄バンクとの取り決めで移植日は公表できないこと、体調がどんどん落ちていくことが予想されるため、しばらくダイアリーは書けなくなるだろう。
とはいえ、ここまで来たら、一か八か、半か丁か、赤か黒か、自分が賭ける方はひとつしかない。それではまた、回復したあとにお会いしましょう。